シャーロック・ノート 学園裁判と密室の謎/円居挽
キングレオと同じ世界観と聞いて。
シャーロック・ノート: 学園裁判と密室の謎 (新潮文庫nex)
- 作者: 円居挽,片山若子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/03/28
- メディア: 文庫
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あらすじ
剣峰成(つるみねなる)は退屈していた。
都内屈指の進学校にもかかわらず、クラスメイトは凡庸な生徒ばかり。
目指す高みには到底たどり着けそうにない……。
そんな成の前に現れた少女、太刀杜(たちもり)からん。
彼女との出会いをきっかけに、成は鷹司(たかつか)高校の真の姿を目の当たりにする。
論理と論理をぶつけ合う学園裁判。殺人と暗号。連続密室爆破事件と犯人。
若き才能が放つ、青春×本格ミステリの新機軸。
キングレオが西で日本探偵公社と鶴桜高校の話をするならば、
シャーロックノートは東で現衛庁と鷹司高校の話。
どちらも探偵が警察では解決できないような難事件を扱い、それ故特権的階級でもある。
日本探偵公社は半官半民、現衛庁は中央省庁。
鶴桜高校と鷹司高校は日本に2つしかない探偵養成学校。
そんな学校に入学した成くんがからんちゃんと青春していく話!です!
学園の推理パートはルヴォワールのように論理バトルありつつ、
本格のように僅かな証拠を追ったり犯人と探偵のハラハラを楽しんだりも。
成くんは鷹司高校で過ごす中で
「探偵」、「正義」について考えていきます(主には2巻目で)。
割と新本格ミステリで探偵の抱える悩みに関連しているので、
有栖川有栖の火村シリーズの火村やFateの衛宮士郎が好きな人が好きそう……なのかな。
からんちゃんは出身が京都なのでたまに京都弁を使ってしまったり、
黒髪ポニーテールだったりで、性癖に刺さる人にはどストライクだと思います。
獅子丸は直接は出てこないのですが、本文内に獅子丸の活躍が描かれているので
キングレオ世界でのレオ様激推し夢女ごっこができます。逆にリアルでいいですね。
全体的に「本格」ミステリを感じられてよかったです。
シャーロックノート > キングレオ > ルヴォワール
の順に本格度が高いかな……?
ルヴォワールはかなり忘れてるんですがどっちかというとメフィスト、新本格の雰囲気。
(今烏丸ルヴォワールをパラ見したんですが、烏有さんが出てきてキレ散らかしてる)
(情緒不安定かよ)
あと本の最初にこの本の悪いやつはコイツでーす!というのがわかる仕様に
なっているのと、まだ探偵ではない少年少女の活躍という意味で少年探偵団みも感じたり。
追記でネタバレ感想。
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第一章 学園裁判と名探偵
特究生はペアのどちらか、という思い込みをさせつつ、
円卓上ではなんでもアリということから、審問者の大神五条を指名する──。
やられた~。
確かに成も特究生であろうことは想像できるんですが、物語上星覧仕合では明かせない。
でも、この論理バトルは勝つはず。主人公だし。
男であることは言われているので
(うみねこみたく色つけたくなりますよね、このシステム)、からんでもない。
混乱していたところで
「稀人は汝なり……大神会長」
とのセリフ。
それでこのセリフがきたらあとのネタは読まずとも
自力でたどり着けるお膳立てがあるのも気持ちがいいですね。
五条先輩、獅子丸被害者の会メンバーかぁ……とは思いました。
(妄想)(イオちゃんくらいの理不尽な目にはあってそう)
第二章 暗号と名探偵
いきなり成の過去話!!??アニメなら配分間違えてるって叩かれない!??
と思いましたがもっと重要な過去の過去は全くわからないままでした。
あとここから鬼貫さんもがっつり登場。
成は犯人偽装をしただけで犯人ではない。なぜなら証拠偽装の手順がおかしいから。
またまたやられました。言い訳すると謎解きする気なく読んでたのはあるんですケド。
2回めに刺したのは成である、そしてその文から始まるというので
素直に信じてしまいましたね。ここの文章スムーズでいいですね。
あと鬼貫さんの論理展開。
作中で本人が自分はゆっくりだと言ってるだけあって滅茶苦茶は飛躍はないのですが、
それ故に読めば100%全員理解できる。
またそれを理解した上で最初から読むと成がなぜその行動をしているのか理解できる。
とても練られた作品だと思います。
また成と鳴の関係。
成の心の動きが成熟してる割にここだけハイスピードではと思いましたが、
これは体の年齢に合わせた年相応な部分が出てきたのかなぁと思います。
結末を知った上で改めて見ると悲しいですね。
この時点でわからないもの:成が早夜川家にくるまえ(およそ10年前)
第三章 密室と名探偵
プロローグの残月のはなし。
トリック(?)の論理の部分は脳死で読んで「ほう。ほう。へぇー」だったので割愛。
前半。
鬼貫さんが成との距離を掴みかねてるのが愛おしい~。
創作の中の疑似家族が好きです。こういうのめっちゃ好き。
後半。
斬月に拉致られる成。ハラハラワクワクが楽しかったです。
鬼貫さんが残月にハメられそうになっているのに対して、
自分の身も守りつつ、でも無茶して助けようとする成。
成の探偵への思いが確立し、自分の未熟さを自覚するのに青さを感じます。
最後の残月はセリフがくさかったので笑いました。メンヘラかいな。